各種AIツールについて整理する

はじめに

AIツールに無計画に課金してしまい、気がつけば高額なサブスクリプションを支払っていたという経験は、新しいもの好きの方にはよくあることではないでしょうか。私たちは石油王ではないため、便利だからといって無限にお金を使うわけにはいきません。そこで、今回はChatGPTやClaude、Microsoft 365 Copilotなどの主要なAIツールの無料プランや課金プランについて調査し、今後のAI活用方針の参考になるようにまとめました。

調査内容

各種AIツールについて、ざっくりと調査した結果をまとめています。AI関連全体に言えることですが、詳細な情報が公開されていなかったり、数日後には情報が古くなっていたりするので、あえて細かいことは書かないことにします。あまりにも情報の賞味期限が短すぎて、もはや消費期限みたいになってるので。

調査対象

  • ChatGPT
  • Claude
  • Gemini
  • Perplexity
  • Copilot Pro
  • Felo
  • Canva
  • Gamma
  • Cursor

1. ChatGPT

言わずとも知れたAIブームの火付け役みたいなサービスですが、主に下記のようなプランがあります。

  • 無料版
  • ChatGPT Plus($20/月)
  • ChatGPT Pro($200/月)

自分は無料版以外は全部使ってみたのですが、少なくとも一般的な用途でProプランは必要ないと思います。Plusプランでさえも、一般的な用途では価格に見合うほどのメリットを受けられないのではと思うくらい、ChatGPT 4oが強すぎるので、ちょっと使うくらいなら課金せずとも十分です。


2. Claude

Claudeは、ChatGPTやGeminiと比べると若干知名度が落ちますが、コーディングやデザインなどの専門用途では非常に強力なAIツールです。特にArtifactと呼ばれる、HTMLやSVGなどを自動で生成していい感じの資料を作ってくれる機能は、他のAIと比べても抜きん出た性能を持っていると言えると思います。

無料でもこういった用途に使えなくは無いのですが、コード生成やデザイン生成というのはどうしても一発で思ったものを生成するというのは難しく、チャットでの会話回数が増えてしまいます。そのため、Claudeの利点を最大限に引き出すためにはPro版の利用が適していると思います。逆に言うと、コーディング以外の用途であれば、Claudeを使うメリットはあまり感じられないかもしれません。

一部では文章生成に長けていると言う人もいますが、自分はそういった用途ではChatGPTの方が優れていると感じています。Claudeが生成した文章を何度か読んでみましたが、絶賛するほど違いがあるとは思えず、どちらかというとChatGPTのほうがまともな文章を生成してくれる気がしています。

まあ、文章やコード生成には好みが分かれる部分があるので、自分で確かめてみるのが一番です。


3. Gemini

GeminiはGoogleが開発しているAIツールです。AIの分野でGoogleは若干出遅れた感があるからか、Geminiは無料枠が充実しています。ChatGPT以上に、普段遣いでは無料枠で十分に感じる部分が多いです。

Geminiの一番の利点は、コンテキストウィンドウの大きさでしょうか。他のAIツールでもコンテキストウィンドウがある程度大きいモデルはありますが、どうもコンテキストが長くなってくると精度が落ちてきたり、応答速度が下がってくるなどでまともに使えなくなることが多いのに対し、Geminiはそういった問題があまり起きないので、ちょっと長めのコンテキストでも使えるのが利点です。

PDFを丸ごと要約みたいな用途に適していると思います。


4. Perplexity AI

Perplexity AIは、最近ソフトバンクがCMをしているAI検索ツールです。AIツールの中でも先駆者的な存在で、速度や精度に関しては申し分ないと感じます。

このツールに課金すると、Proサーチで検索ソースを増やしたり、DeepResearchが可能になります。しかし、AIの特性上、参照するソースが増えるとハルシネーションが起こりやすくなり、個人的には信頼性に欠けると感じることがあります。ハルシネーションを前提に、特定の情報を網羅的に把握する目的で使うには良いかもしれませんが、そのままコピペして使えるほどの信頼性はないと思います。

現時点の精度では、課金してまで利用する価値はあまり感じられません。ソースが多いからといってAIの能力が向上するわけではないことを実感できるので、AIの学習には役立つかもしれません。


5. Copilot

Copilotは、基本的には無料で使えるAIツールで、Windows11にデフォルトで組み込まれているので、知名度も高いです。

Copilotですが、似たような名前があって非常にややこしいプロダクトになっています。今のところ

  • Copilot(Pro)
  • Microsoft 365 Copilot

この2つがありますが、Microsoft 365 Copilotは企業向けのサービスで、Microsoft 365を契約している法人向けに、AIエージェントとしてのCopilotと、チャットボットとしてのCopilotの両方を提供しています(AIエージェント機能はオプションで別契約)。これに対して、Copilot(Pro)とは、個人向けのサービスで、Microsoft 365を契約していない個人向けに、チャットボットとしてのCopilotのみを提供しています。

更にこれとは別に、Microsoft 365 Personalを契約している場合、AIエージェント的な使い方ができるCopilot Proの機能をOffice製品内で使える様になるなど、書いている自分も何言ってるのか分からなくなるくらいプロダクトの区別が混乱しています。どうにかなりませんかね、このややこしさ。

このように、プロダクトの区別に失敗しているサービスですが、その機能自体は非常に優れています。特にMicrosoft 365 Copilot内のCopilotは、エンタープライズ データ保護が適用されることが明記されているので、SharePointやOneDriveと同じ感覚で、社内のデータを安心してAIに投げることができるのがメリットだと思います。

Microsoft 365を使用している会社に勤務しているなら、Copilotさえ使っていれば、色々と心配せずにAIの恩恵を受けれるのではないでしょうか。あと、なんとなくOffice文章の理解度が他のAIツールより高い気がします。ChatGPTではOffice文章をアップロードするとPythonを使って解析しようとしますが、Copilotは解析方法は不明ですが、どうも独自の方法で解析を行っている感じがします。

一般的な仕事の用途なら、Copilotは結構役立ちそうです。


6. Felo

Feloは、これまではPerplexity AIと似たようなAI検索ツールという印象だったのですが、最近AIエージェントとして振る舞うことを売りとしているようです。

無料でもとにかく色々なツールが使えるようで、自分もまだ使いこなせていませんが、これから注目のツールですね。


7. Canva

Canvaは、プレゼン資料やデザイン制作に便利なサービスです。無料でも結構使えますが、有料プランへの誘導が割と強い印象です。

ちょっと使ってみた感じ、確かに短時間でいい感じのスライドは作れそうな気もしますが、感覚としてはパワポの延長線上にあるツールのように見え、あとに紹介するGammaよりはAI感が薄い気がします。こちらもまだあまり使っていないのでなんとも言えませんが、いい感じのスライドが浮かばないときは参考になりそうです。


8. Gamma

GammaはAIによるスライド・ドキュメント生成やWebページ作成機能に力を入れているサービスです。スライド作成ソフトとの違いは、AI画像生成が充実している点にあると思います。

実はついうっかり年間課金してしまったのですが、Proプランだと画像生成が使い放題になるので、毎月の制限を気にせずにアレコレ遊べます。ただ、正直なところPowerPointで代用できる面も多く、Gammaの強みはAIによる画像生成にあり、プレゼン作成ツールとしては及第点くらいの出来かなと思います。

GammaにしろCanvaにしろ、スタートアップ企業がVCから資金調達するときに使うスライドみたいで(偏見)、技術的な内容をガッツリ説明するようなスライドにはそもそも向いていない気がします。

まあ、人は内容よりも印象を優先しがちなので、内容スッカスカなスライドでもなんかすごい感を出せるという点では、この手のサービスはある程度は需要があるのかもしれません。

学会発表みたいに、内容を練り上げるスライドにはあんまり使えないのではと思います。


9. Cursor

CursorはVSCodeにLLMを統合したようなテキストエディタで、これまで説明してきたAIツールとは若干性質が異なります。今まで説明してきたツールと比べて、Cursorは明確に何かの目的を持ったツールと言うよりかは、ユーザーがテキストエディタで行う作業全般をLLMで支援するエージェント的なものです。このような性質から、一般的にAIに求められるような「勝手になんかいい感じのものを作ってくれる」という用途にはあまり適しておらず、むしろユーザーが主体となって「これを作りたい・書きたい」と思ったことに対して、Cursor側がいい感じにアシストしてくれるような印象を受けます。

個人的にこのプロダクトが現状最も気に入っています。LLMはマルチモーダル化が進んでいるとは言っても、結局のところテキスト処理が最も得意なことは変わりません。また、LLMの能力を最大限に発揮させるには、入力として良質なテキストであったり、コードが必要となってきます。それらの資源を効率よくLLMに与えてやって、Cursorがいい感じにアシストしてくれるというのが、このプロダクトの良いところです。

Cursor自体はLLMのモデルに依存しないので、主要なLLMがどれでも使える点も嬉しいですね。正直なところ、今までに挙げたツールに課金しまくってきた自分としては、最初から全部Cursorに集約させたら良かったのではと思っています。

まあ、全部にそこそこ課金して、生成AIの動向を知らないと至れない境地もあるので、無駄金では無かったと信じたいですね。

まとめ

こうしてみると、各社ごとに無料枠や有料プランが少しずつ異なり、それぞれ独自の強みをアピールしている印象です。ChatGPTやClaudeなどチャット系サービスだけでも多種多様な料金体系があり、Microsoft 365のようにOffice製品との連携を強調したものもあります。CanvaやGammaも含めてプレゼン資料やデザインをAIで補助してくれるサービスも増えていて、AI活用の可能性がどんどん広がっているように思います。

とはいえ、どのツールも無料版である程度の機能を試せるので、一度試してみて必要に応じて有料版にアップグレードするのが賢い使い方かもしれません。特に、Microsoft 365のように企業内で導入されているツールが使える場合は、無料版のChatGPTを細々と使うよりも、企業のライセンスをフルに活用した方がトータルコストやセキュリティ面で安心できるでしょう。

いずれにせよ、AIツールはバージョンアップやプラン変更が頻繁に行われるため、定期的にチェックして自分の使い方に合ったプランを見直していくのがおすすめです。

今のところの最適解

自分の中で、今のところ課金するサービスの最適解は、Cursor一点に絞ることではないかと思っています。Cursor以外は別に代替する手段であったり、無料の範囲でできることも多いので、無理して課金するほどでも無いかなと思います。

まあこれはエンジニア目線の考えであって、自分でちょっとコードを書いたり、無料の範囲で工夫するみたいなことができないと、AI課金地獄に陥るような気もします。怖いですね。

コメントする

CAPTCHA